アフィリエイトを行うにあたって、なくてはならない存在がASPです。広告主と直接契約することも可能ですが、面倒さやリスクを考えると、ASPを通した方が効率的です。
広告主はASPにどれぐらい支払っているのでしょうか。
調べたところ、開示しているASPは皆無に等しく、見つけられたのはバリューコマースだけでした。
料金のご案内 | バリューコマース
http://www.valuecommerce.ne.jp/ecsite/price.html
基本料金(ベーシックプラン)
- 預り金 20万円
- 初期費用 5万円
- 月額基本料 5万円
- アフィリエイト報酬の31.5%
例えば、1件1,000円の案件で、月10件の成果があった場合、広告主がASP(バリューコマース)に支払う成果報酬の総額は、
1,000円×10件+(1,000円×10件×31.5%)=13,150円
となります。これに、月額基本料5万円が加わるので、しめて63,150円。これを成果件数10件で割ると、1件あたりの獲得費用は6,315円となります。取り扱う商材の価格にもよりますが、費用対効果を考えると、広告主にとっては納得いかないレベルだと推測されます。
ところが、成果件数が100件、あるいは1,000件、1万件に増えると、以下のように費用対効果は大幅に改善されます。
成果件数 | 成果報酬総額 | 月額基本料 | 合計 | 獲得費用/1件 |
---|---|---|---|---|
10件 | 13,150円 | 50,000円 | 63,150円 | 6,315円 |
100件 | 131,500円 | 50,000円 | 181,500円 | 1,815円 |
1,000件 | 1,315,000円 | 50,000円 | 1,365,000円 | 1,365円 |
1万件 | 1,315万円 | 50,000円 | 1,320万円 | 1,320円 |
1件あたりの獲得費用は、成果件数が1万件の場合1,320円と、1,000件の時(1,365円)に比べると確かに安くなりますが、誤差に近いレベルと言えるでしょう。
よって、広告主にとっては月1,000件が一つの目安になると推測できます。また、最低でも月100件の成果がないと、成果報酬型ASPを利用する旨みが少ないように思えます。広告主やASPの事業規模や、広告案件の商品単価等にもよりますが、ここら辺りが広告主にとっての損益分岐点でしょうか。
アフィリエイター側から眺めると、一案件あたり月100件が、有力媒体であるか否かの目安になりそうです。案件にもよりますが、月1,000件も獲得すれば、有力媒体と考えて差し支えないと思われます。
獲得件数が増えると、広告主だけではなくASPも「有力媒体」として扱うようになりますが、ここで大事なのはASPです。
アフィリエイトをやっていると分かりますが、複数ASPに出稿している広告主は意外と多いです。逆に、一つのASPが独占案件として囲い込んでいる案件は思っている以上に少ないです。
月100件、あるいは月1,000件の成果をコンスタントにあげるサイトが、競合するASPに乗り換えると、既存ASPにとっては、成果報酬の取り分が減るだけでなく、広告主にとり1件あたりの獲得費用が高くなってしまいます。逆に、競合するASPは、自らの取り分が増える上に、1件あたりの獲得費用が安くなることを広告主にアピールできるようになります。
ASPがあの手この手で「有力媒体」を囲い込もうとするのも無理のない話です。
ところで、成果件数が月100件ないと、広告主にとって旨みは少ない、と先に書きました。ただし、別の角度から眺めると、そうとは言い切れないものがあります。
例えば、圧倒的に好条件の成果報酬を提示すれば、数多くの媒体で広告掲載される可能性が高まります。ですが、広告主にとっては、広告予算が決まっているので、むしろ成果件数が少ない方が好都合というケースもあります(成果ゼロが最も好ましいかもしれません)。月5万円の固定料金を払えば、数多くの媒体で宣伝してもらえるのですから、そのように考える広告主が存在しても不思議ではありません。
そのような広告主は、アフィリエイターに何ももたらしません。成果が発生しても破棄率が高く確定率が低いような広告主にあたってしまった場合、運が悪かったと諦め、すぐに広告掲載を取りやめるべきです。お金にならないだけでなく、下手をすると検索エンジンがアフィリエイトリンクを過剰な外部リンクと判断し、検索順位が落ちるかもしれません。
アフィリエイターにとって最悪な広告主は、成果条件が良くて成果発生率も高いが、確定率が異常に悪いパターンです。自分にも経験がありますが、物凄く腹が立ちます。
では、そのような広告主はASPにとっても最悪なのかと言うと、一概にそうとは言い切れません。もちろん成果報酬制なので確定しない限り、ASPの収益は増えないのですが、月5万円の固定収入は確保されています。おそらくこの5万円という数字は、ASPの損益分岐点から逆算して設定されたものと推測されます。すなわち、収益性は悪くなりますが、損益分岐点は最初から超えているのです。
これがアフィリエイターとの大きな違いであり、有利な点です。
だからと言って、ASPをやりたいとは全く思いませんが…