脱毛エステ「ミュゼ」のリスティング広告とアフィリエイト広告

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 先日「リアルフリー」というビジネス書を読んだ。2012年1月発売なので少し古い本だが、とても面白かったので一気に読み終えた。
 「リアルフリー」というタイトルに惹かれて手に取ったのだが、著者が脱毛エステ「ミュゼプラチナム」のオーナー経営者と知って軽く驚いた。ごく最近のASP担当者との打合せ中、印象に残ったキーワードの一つが「ミュゼ」だったからだ。
 
 ASP担当者との打合せ中、リスティング広告に関する話題で盛り上がっているとき、ASP担当者の口から「ミュゼ」というキーワードが飛び出した。自分には縁遠い業界だが、非常に興味深い話だったので、そのキーワードで検索してみた。
 以下が2014年8月14日におけるGoogleとYahoo!の「ミュゼ」に関する検索結果画面である。

Google
20140815musee1
Yahoo!
20140815musee2



 「ミュゼ」のリスティング広告だが、公式オンリーというGoogleの素っ気なさと、「公式バナー広告+その他大勢」というYahoo!の過剰さが、あまりにも好対照である。と言うか、「ミュゼ」というキーワードでのリスティング広告出稿を許してもいいのか?>Yahoo!

 そのような出来事があったばかりなので、「ミュゼ」を経営する高橋仁氏の本が、更に興味深いものになった。
 
 高橋氏の発想は斬新かつ魅力的なだけでなく、経営者としての確かな実績に裏付けられている。「追加料金なし」「キャンセル料なし」「勧誘しない」「会員へのサービスを極限まで無料に近づける」というポリシーも美しく、文句の付けようがない。素晴らしい。
 その反面、あまりにも話がキレイ過ぎるため、何とも言えない違和感を覚えた。
 
 そこで「ミュゼ」及び脱毛エステ業界について調べてみることにした。
 
 脱毛エステについて調べると、医療行為、すなわち医師法という法律に突き当たった。
 厚生労働省は「毛根等を破壊する脱毛は医療行為なので医師の立会が必要」という立場をとっている。それに対して、業界団体である日本エステティック振興協議会は、脱毛エステを「美容ライト脱毛」と命名した上で、「除毛・減毛を目的に皮膚に負担を与えず毛の幹細胞を破壊しない範囲で、エステティックサロンで行われる光脱毛」と定義付けている。

 「美容ライト脱毛」は分かりにくい概念だが、「美容」を目的とした「ライト」な脱毛ということなのだろう。少なくとも医師法に基づいて行なわれる「治療」としての「脱毛」とは性格が異なる。
 脱毛エステについては、この他にも業界団体が複数存在するなど、デリケートな問題がいくつか見受けられ、裏表が激しい業界だと感じた。
 
 法令の境界にビジネスチャンスが存在することは多いが、適法か否かを判断するのは、時の権力なのでリスクも大きい。脱毛エステは、まさにそのような業界である。実際、医師法違反で摘発された業者がいくつか存在する。
 そういう視点で「リアルフリー」を読み直すと、「ミュゼ」の低価格路線が危ういものに見えてくる。
 
 気になったので「ミュゼ」のWebサイトを確認したところ、「美容脱毛」の記載はあったが、「美容ライト脱毛」の記載は見当たらなかった。「美容脱毛」についても「除毛・減毛を目的に皮膚に負担を与えず毛の幹細胞を破壊しない範囲で、エステティックサロンで行われる光脱毛」という説明が見当たらないので、「美容ライト脱毛」と同一のものかどうかは不明である。また、医師の立会のもとに「脱毛」をしているか否かの記載もない。
 よって、自分が確認した限りの公開情報からは、「ミュゼ」の「脱毛」が医師法に違反しているか否かは判断できない。
 
 次にアフィリエイト広告の視点から確認してみた。
 AffiliateB 脱毛特集で一般公開されている通り、「脱毛」ジャンルのアフィリエイト報酬は異様に高い。1万円を超えるケースもある。

 「ミュゼ」のアフィリエイト報酬は「WEB予約後、来店完了 7,398円(税込) 」である。他社に比べて報酬が飛び抜けて高い訳ではないが「本人申し込みOK」とあるので、「両ワキ+Vライン美容脱毛」をキャンペーン価格250円(2014年8月16日現在)で申し込めば、美容脱毛が実質無料になり、かつ、約7,000円(≒7,398円-250円×1.08)をもらえることになる。これはお得すぎる。「リアルフリー」どころの話ではない(が、提携基準・掲載ガイドラインを確認したところ、それ相応の手間が必要なので、サイト構築に慣れていない人にはハードルが高いように感じる)。
 
 ところで、上記提携基準・掲載ガイドラインの広告掲載ルールに「ミュゼ=永久脱毛という関連付けがNGとなりますが、永久脱毛コンテンツのあるサイトへの掲載はOKです」という記載がある。これは医師法を意識したものであると思われるが、こういうのって事実誤認を誘発させる可能性があるような…
 
 「リアルフリー」を読み、その舞台となった脱毛エステ業界や「ミュゼ」のことを調べた上での感想は、いろいろ危ういところが見受けられるので、あまり関わりたくないというのが正直なところである。法令の境界という危うい橋を渡る事業家を、本業で嫌というほど見ているからか、そちらの方面に関する警戒心は異様に強いのだ。
 同時に、「脱毛」でアフィリエイトで参入するには、相応の知識が必要だと感じた。仮に、脱毛系サイトを作るのであれば、医師法の関係上、医療行為が可能な脱毛クリニックに限定するし、公開情報を慎重に吟味した上で掲載する脱毛クリニックを絞り込む。競合がたくさん存在するからやらないと思うけどw

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