Twitter経由で「なぜ、中小企業はホームページからの集客に失敗するのか?」というページを知った。フムフムと読み進めるうちに、何とも言えない違和感を覚えた。
この中で「ホームページからの集客に失敗する中小企業の特徴」として、13の項目が列挙されている。SEO的なものが多いが、アクセスがなければ集客も何もできないので、当然と言えば当然のことかもしれない。
だが、中小企業がホームページに期待しているのは、アクセス数を増やすことなのだろうか?
上記ブログ記事においては「2014年版中小企業白書」の「コラム2-4-1 ホームページの活用」を元データとして引用している。ホームページを開設することにより「販売先数の変化」があったかどうかというアンケート結果だ。
すなわち「販売先数の変化」がメインであり、必ずしもアクセス数を増やすことが主目的でないことが分かる。更に言えば、「販売先数を増やす」=「アクセス数を増やす」ではない。
成果報酬型アフィリエイトで稼いでいる人間にとっては当たり前のことなのだが、成果があがりやすい案件とは、商品やサービスが魅力的であることに加え、ランディングページが優れている必要がある。極論すれば、商品やサービスの質よりも、ランディングページの質の方が重要なのである。
*ランディングページ … アフィリエイトリンクのアクセス先ページ
例えば、amazonや楽天市場のアフィリエイトが成果をあげやすいのは、ランディングページ、及び、そこから成果発生までのプロセスが優れているからである。ランディングページが商品説明ページであり、しかもそこから商品購入までのプロセスに無駄がない。
ここで成果報酬型アフィリエイトの実際を見てみる。
以下は運営する収益サイトの、某ASPにおける広告主別レポート(2015年1月1日~1月21日)の一部である。
赤色の広告主①は、広告表示数が57,490回で、982回クリックされている(クリック率1.70%)。けれども注文件数は0件。アクセス数が販売先数の増加に繋がらない代表的な例だ。
黄色の広告主②は、広告表示数が46,902回で、930回クリックされている(クリック率1.98%)。注文件数は161件と異様に多い。コンバージョン率も17.31%と、物凄く優秀な案件である。ただ、そんなに単価は高くないけど…
緑色の広告主③は、広告表示数が8,165回で、497回クリックされている(クリック率6.08%と驚異的)。注文件数は13件、コンバージョン率は2.62%とまずまずである。
①と②について考察する。
広告表示数やクリック数、クリック率を見ても、両者に決定的な差はない。だが、注文件数については怖ろしく差がついた。
商品・サービスについては、両者とも魅力的である。このことは、クリック率に大きな差がないことからも、ある程度の説明がつく。
注文件数に大差がついた最大の理由は、ランディングページの差である。②については、ランディングページが分かりやすい上、そこから成果発生までの流れがスムーズである。他方、①については、ランディングページが分かりにくいし、申し込みまでのステップに無駄なものが多すぎる。
③について考察する。
驚異的なクリック率の理由は、とあるジャンルでランキング1位の案件だからである。それゆえ、①や②に比べると広告表示数は多くないが、クリック数は①や②に迫る勢いである。だからと言って、注文数が多くなるとは限らない。注文数は①よりも多いが、②の10%未満しかない。
以上のことから明らかなのは「アクセス数」=「販売先数」でないことだ。Webサイトへのアクセス数はもちろん大事であるが、上記①のように全く成果が発生しないケースもある。と言うか、おそらく中小企業の場合、その多くは上位①と同様に、アクセス数を販売先数に全く繋げることができていないと思う。なぜならば、取り扱っている商品やサービスが魅力的であっても、ランディングページの質が高くないケースが非常に多いからだ。
成果報酬型アフィリエイトの場合、ASPに支払う月々の固定費が発生することもあり、中小企業の利用はさほど多くない。よって、アフィリエイトを利用している企業は、ITへの関心が相対的に強いと言える。
だが、そのような企業でも、「アクセス数」だけを追いかけ、「販売先数」をないがしろにしていると言わざるを得ない出来事があった。
とあるジャンルの商品ページ。確認したところ、11社中4社はモバイル対応をしていない。ちなみに、そのジャンルのモバイル比率は60%前後。
アフィリエイトで誘導しても成果に結びつかないよ。
— アフィリエイト執事 (@affibank) 2015, 1月 7
どれだけ商品やサービスに魅力があっても、どれだけアクセス数を集めようとも、ランディングページが酷ければ無意味である。成果は発生しないのだ。
アフィリエイトの世界においてもランディングページへの関心が薄い広告主が多すぎる。
アフィリエイターの視点で見ると、広告主のランディングページに酷いところが結構多い。モバイル対応をしていないとか、問合せフォームに問題があるとか。
アフィリエイト収入増に繋がるし、そういうコンサルタントをしてみたい。
— アフィリエイト執事 (@affibank) 2015, 1月 7
確かにSEOは大事である。アクセス数を増やすためには、自分も労力を惜しまない。
だが、それより大切なのは、ランディングページである。訪問者が何を求めているのかを的確に把握し、その要望をスムーズにかなえなければならない。それが出来なければ、せっかくの訪問者も、あっさり離脱し、競合サイトへと行ってしまう。成果があがらなければ、膨大なアクセス数があろうとも、単なる自己満足にすぎない。営利企業的には失敗である。
自信を持って言えることは以下のことである。
中小企業がホームページからの集客に失敗する ただ1つの理由とは、ランディングページ、及び、そこから成果発生までのプロセスに問題があるからである。例えアクセス数が少なくとも、成果を上げることは十分可能なのだ。それが成果報酬型アフィリエイトを生業とする人間の結論である。